僕が体験した、アメリカのナンパコミュニティの隆盛と衰退の歴史

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こんにちは、ヒュー・マナハタ(@HughManahata)です。

もともとアメリカでもかなりアンダーグラウンドな存在だったナンパコミュニティですが、ご存知の通り小説「ザ・ゲーム」(ニール・ストラウス著)2005年に出版されたことで大きな変化が訪れます。

2006年には「ザ・ゲーム」を読んだ非モテが一気にコミュニティに流れ込み、2007年にはミステリー(注:「ザ・ゲーム」にも登場する超有名ナンパ師)がホストを務めるナンパ師を目指すリアリティ番組まで制作されました。

2006年から2010年にかけては間違いなくアメリカのナンパコミュニティの最盛期だったと言えるでしょう。

そこで今回は運良く2006年〜2010年の最盛期を20代の時に体験できた僕が、当時の状況やトレンドなどを歴史年表的に振り返ってみたいと思います。

2006年:「ザ・ゲーム」の日本語版が出版される

「ザ・ゲーム」の日本語版が出版されたのが2006年です(当時は2005年に英語版が出版されていたことすら知らなかった)。

僕も元妻との離婚協議中に立ち寄った日系書店で偶然「ザ・ゲーム」の日本語版を手にしたことで、その後の人生が大きく変わることになりました。

この年は「ザ・ゲーム」を読んだ非モテのアメリカ人が一気にコミュニティに流れ込んだため、市場規模が倍々ゲームで大きくなり、次々とナンパビジネスが立ち上げられた年でもあります。

各地でセミナーが盛んに開かれ、それを録画した数万円のDVDセットが飛ぶように売れていた時代ですね。

当時はYouTubeが創業されて1年ほどであり、2006年11月にGoogleに買収されはしたものの動画のクオリティがかなり低い単なるマニアックな動画投稿ウェブサイトでした。

そのため現在のように無料で質の高い動画にアクセスすることなど不可能だったのです。

僕もご多分に漏れず色々とプログラムを買い漁り、初期はデイヴィッド・ディアンジェロ(注:David DeAngelo、有名なナンパ講師の1人)のプログラムがお気に入りでした。

「ザ・ゲーム」からナンパコミュニティに入ってくる人は大抵ミステリースタイル(注:「ザ・ゲーム」の著者であるニール・ストラウスのハンドルネーム)周辺のナンパ師が考案したオープナー(注:声をかけるために使う口説き文句)ルーティン(注:声をかけた後に話すネタのこと)を使うのですが、そのうちネタがなくなってくると別のナンパ講師のネタを探すわけです。

そのニッチにうまく合致したのがディアンジェロのプログラムで、彼は「Cocky&Funny」(注:コッキー&ファニー、面白いことを微妙にイヤな奴っぽく言うことで女の子の興味を引くテクニック)という手法でコミュニティの新人から大きな支持を得ます。

プログラム自体は2001年〜2004年に発売されたものですが、2006年当時一番売れていたのは彼のプログラムじゃないでしょうか。噂では彼は動画プログラムの販売で数十億とも言われる資産を築いたということです。

この当時はまだ初心者や非モテが多かった時期でもあり、「何を言い、どんなことを話すか」というテクニック偏重のプログラムが多かったですね。

2007年:テクニック偏重からの脱却とRSDの躍進

2007年ミステリーがホストを務める「The Pickup Artist」というナンパ師を目指すリアリティ番組が放送され、2006年と同じ流れで新しい非モテがどんどんとコミュニティに参加していた頃です。

しかし2005年〜2006年「ザ・ゲーム」を読み、1年以上のナンパ経験を積んだ人たちからは少しづつ不満が噴出し始めていました。

これは「有名ナンパ講師たちの教えるテクニックだけを使っても、簡単にはベッドインまで行けない」ということが徐々に明らかになってきたためです。

またナンパ人口が一気に増えて同じようなオープナーやルーティンを使う非モテが増えた結果、「さっき話した人が同じこと言ってたわ」と女の子にダメ出しされることも増えてきました(これは「ザ・ゲーム」内でもすでに同じ現象があったと書かれていたと思います)

結果として「変化しつつあったコミュニティのニーズ」と、「当時売られていたプロダクト」にギャップが生まれ始めたわけです。

そしてそのギャップをうまく埋めたのが、「RSD」ことリアル・ソーシャル・ダイナミクス(注:Real Social Dynamics、「ザ・ゲーム 」に嫌われ役として登場するタイラー・ダーデンとパパの会社)でした。

すでに「何を言い、どんなことを話すか」というテクニック偏重をやめ「男としての魅力やファンダメンタルバリューを上げること」に重点を置いたRSDは一気に信奉者を増やし、ナンパコミュニティで世界最大の勢力を誇るまでに躍進します。

当時は「Fast Seduction」や「Mystery Method」などの有名掲示板に投稿していた知り合いや友達も、こぞってRSDの掲示板に移動していました。

友達があまりにも熱っぽく勧めてくるので試しにRSDのプログラムを見たところ、元々「テクニック偏重のナンパはなんか違う」と考えていた僕も一気にどハマりしてRSD派になります。

2008年:ほぼ全てのナンパメソッドが出揃う

自分を含めRSDに鞍替えした友達の多くが徐々に結果を出し始めた年であり、コミュニティは「より魅力ある男になることを目指すRSD派」と、「テクニックのみで女の子を落とそうとするその他大勢」に棲み分けが進みます。

「ミステリーメソッド」ミステリーを追い出した後も(注:平和的に別れただけかもしれませんが、当時は追い出したと噂されていました)相変わらずテクニック系のプログラムばかりリリースしており、RSD派からは嘲笑されていました。

当時のコミュニティ内でのRSD人気は凄まじく、ニューヨークのコミュニティでもさながら「RSD派にあらずんば人にあらず」と言えるほどのものでした。

事実RSD派の人はどんどん成長して結果を出していたのに対し、その他のテクニック派で結果を出している人は稀だったからです。

またこの年リリースされたDVDプログラムでナンパというものを社会科学レベルにまで徹底的に分解・解説してみせたタイラー・ダーデンは、「ザ・ゲーム 」によって嫌われ者扱いされた汚名を返上し、ナンパコミュニティの第一人者に躍り出ます。

ナンパビジネスは隆盛を極め、この年までには今でもメジャーなナンパメソッドのほぼ全てが出揃いました。

2009年:成熟期の始まり

前年までは毎年何本かセミナーを収録してDVDプログラムとして販売することはメジャーなナンパビジネスでしたが、この年からはDVDプログラムはあまり販売されなくなります。

1990年代の黎明期より進化し続けてきたナンパメソッドがある程度進化しきってしまったため、「今までの常識を覆すような新たな手法」が誕生しなくなったことも大きな一因でしょう。

現にこの年以降のナンパメソッドは現在に至るまで「過去に出たものの焼き直し」「新たな解釈」でしかなく、それ以上革新的な進化は見られなくなりました。

要はこの記事を最初に執筆した2019年時点でほぼ進化しきってしまった感のあるスマホみたいなものですね。

唯一進化があったと言えば昼ナンパ(デイゲーム)で、最近日本でも流行っている(?)「誠実系昼ナンパ」の手法が確立されたのが2009年でした。

前年までに出揃ったプログラムで夜ナンパをマスターした僕や友達は、デイゲームに大きく傾倒してこちらもマスターします。

2009年時点で僕も友達もほぼスキルキャップに到達してしまったため、進化が頭打ちになったナンパメソッドと同じくこの年以降は飛躍的なスキルアップはしていません。

そういう事情もあり、僕らはだんだんとナンパスキル以外の部分で自分を磨く方向にシフトして行きました。

2010年:縮小均衡

前年まではまだ勢いがあったナンパコミュニティですが、2010年以降徐々にその勢いに陰りが見え始めます。

前述の通りナンパメソッドが進化しきってしまったため新たな手法が誕生せず、コミュニティに一種の停滞感が出てきたからでしょう。

またこの年ぐらいから「ザ・ゲーム」をきっかけにナンパコミュニティに入ってきた古株たちが結婚したりしてナンパを引退することが目立ち始めます。

そして引退者の数よりも新たにコミュニティに入ってくる新人の数が少なくなったため、2010年以降ナンパコミュニティは徐々に縮小均衡へと向かって行くのでした。

数年前には隆盛を誇った有名掲示板も徐々に勢いを失い、すでにスキルキャップに到達してしまった僕らもレポートをポストする頻度が低下しました。

コミュニティから得られる情報を余すところなく学び、多くの友達を得た僕らはコミュニティから距離を取るようになったのです。

まあコミュニティから離れたところで相変わらず狂ったようにナンパは続けていましたし、単純にコミュニティから卒業して独り立ちしただけですが。

おまけ:2014年ごろ

RSDのナンパ講師であるジュリアン・ブランク(日本人女性相手には)ピカチュウとかポケモンとか適当に強気で言うだけでいい」などと発言して問題になった年です。

古参であれば覚えている人もいるかもしれませんが、イギリスに入国拒否されるなど大騒動になった結果、彼はCNNのインタビューで謝罪に追い込まれました。

ジュリアン2012年からRSDで働いているらしいので、その頃すでにナンパコミュニティとは距離を置いていた僕や友達はよく知らない人ですね。

まあ個人的にはどうでもいい事件でした。

当時「正義の鉄槌」を振りかざして彼を叩きまくっていた人は満足したでしょうが、結局ジュリアンは今でもピンピンしているようですし、ナンパコミュニティにはほとんど影響していないので全く無意味な運動でした。

ジュリアンの活動や彼が教えていたようなことをサポートするつもりは全くありませんが、不毛な「ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー(SJW)」は今でも別の叩く対象を叩いて満足しているのでしょう。

最後に

このブログを書くようになってから以前お世話になっていた掲示板やウェブサイトなどをのぞいてみましたが、今では閉鎖されていたり、全く更新がないサイトなどが多く時代を感じます。

またこのブログでも頻出するバーの「プランジ」もすっかり変わってしまい、この記事を執筆した2019年時点では可愛い子もあまりいないようです(注:ニューヨークのクラブはリニューアルオープンすることが多いため、うだつが上がらないクラブでも名前や内装を変えていきなりホットな場所に生まれ変わることも多いです。状況がすぐ変わることには注意が必要)

アメリカのナンパコミュニティにおける黄金時代は終わってしまいましたが、これからナンパを極めようとする人たちは「自身の黄金時代はこれから」ということをモチベーションに頑張ってもらいたいですね。

以上、僕が体験した、アメリカのナンパコミュニティの隆盛と衰退の歴史でした。


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